葬儀の準備には多くの判断が伴い、費用や手続きに不安を抱かれるご家族も少なくありません。箕面市では、市が運営する「規格葬儀」という制度があります。内容と料金があらかじめ定められているため、制度を利用することで、費用の見通しを立てやすく、安心して葬儀を進めることができます。本記事では、箕面市規格葬儀の特徴や費用、申込みの流れをわかりやすく解説します。
箕面市には、市民が安心して葬儀を行えるように「規格葬儀」という制度が整備されています。内容と料金があらかじめ定められており、利用する際に費用が明確であることが特徴です。ご家族が葬儀の準備を進める際、経済的な不安を和らげ、安心して故人を見送ることができる仕組みです。ここでは制度の定義と目的、一般葬や家族葬との違い、そして選ばれる背景について解説します。
規格葬儀とは、箕面市が条例や施行規則に基づいて整備した、内容と料金が定められている葬儀制度です。利用できるのは市民や市内で葬儀を行う場合であり、申込みは「規格葬儀指定葬儀業者」を通じて行います。
規格葬儀の目的は以下の通りです。
葬儀に必要な基本内容を定め、費用を明確にすること
公的制度として市民に安心を提供すること
指定葬儀業者による統一的な基準での実施
箕面市では「標準型」と「略式型」の2種類が用意されており、祭壇や棺、葬祭用品、進行補助員などの内容が定められています。
一般葬や家族葬は、ご家族の希望に合わせて自由に内容を決められる形式です。祭壇の装飾や参列者の人数、返礼品や料理などを相談しながら選ぶため、自由度が高い一方で、費用が大きく変動することがあります。
規格葬儀との主な違いは次の通りです。
料金と内容が定められているため、費用の見通しが立ちやすい
会場は市立聖苑の式場のほか、ご自宅や公共施設、寺院・神社などでも実施可能(ただし民間葬祭式場は対象外)
「略式型」では標準型よりも内容を絞った形式となり、演出や装飾の自由度が一般葬に比べて制限される
このように、規格葬儀は一般葬や家族葬のような自由な演出は難しい一方で、費用が明確で制度として整備されている安心感があります。
▶こちらの「家族葬とは?一般葬との違いや選ばれる理由を解説」の記事もご覧ください。
葬儀の形式が多様化する中で、規格葬儀が選ばれる背景にはいくつかの要因があります。
費用の明確さ:条例に基づき料金と内容が決まっており、不透明な追加費用が発生しにくい
制度としての安心感:市が関与し、指定葬儀業者を通じて提供されるため信頼できる
利用のしやすさ:見積もり例が公開されており、人数や規模に応じて費用のイメージを持ちやすい
例えば、市公式サイトには「遺族10名・親族15名・会葬者20名」の想定規模での見積もり例が掲載され、料理や粗供養品、祭壇装飾などの費用が具体的に提示されています。これにより、ご家族は安心して準備を進めることができます。
箕面市の規格葬儀は、市民の方が安心して葬儀を行えるように設けられた制度です。利用できる対象者や申込みの流れ、必要書類があらかじめ定められており、事前に理解しておくことで落ち着いて準備を進めることができます。
規格葬儀を利用できるのは、原則として箕面市に住所を有する市民が中心です。具体的には、次のような場合が対象となります。
亡くなられた方が市民である場合
喪主など葬儀の申込者が市民である場合
親族関係が条例で定められた範囲内(血族6親等、姻族3親等など)の場合
また、生活保護を受けていた方については、葬祭扶助制度や聖苑利用料の減免規定が適用されることがあります。該当する可能性がある場合は、事前に市役所や指定葬儀業者に確認しておくと安心です。
規格葬儀を希望される場合は、箕面市が指定する規格葬儀取扱業者に連絡を入れることから始まります。手続きの流れは次の通りです。
規格葬儀指定業者に「規格葬儀を利用したい」と連絡する
担当スタッフと打ち合わせを行い、葬儀の内容・会場・参列人数を確認する
会場は市立聖苑の式場のほか、自宅・公共施設・寺院・神社・教会なども対象
民間葬祭式場は規格葬儀の対象外
火葬や式場の使用申請については、葬儀業者が代行して手続きを行う
打ち合わせで決定した内容に基づき、葬儀を実施
指定業者が窓口となるため、ご家族が一から複雑な手続きを行う必要はありません。ただし、希望や条件は打ち合わせ時にしっかりと伝えることが大切です。
規格葬儀を申し込む際には、以下のような書類や確認が必要です。
火葬許可証(死亡診断書を提出して市役所で交付を受ける)
聖苑使用許可申請書(市立聖苑を利用する場合)
申込者の印鑑
住所を確認できる書類(住民票や運転免許証など)
事前に確認しておきたい事項としては次の点があります。
「標準型」「略式型」のどちらを選択するか
会場を市立聖苑にするか、自宅や公共施設にするか
参列予定人数(料理や返礼品を準備する際の目安となる)
宗教・宗派の確認と必要な対応
これらを整理しておくことで、申込みから葬儀実施までの流れを円滑に進めることができます。
箕面市の規格葬儀は、費用と内容があらかじめ定められており、事前に見積もりの目安を把握できる制度です。2025年5月時点の市発行パンフレット(参照:箕面市規格葬儀箕面市立聖苑ご利用案内)によると、標準型と略式型の2種類が用意され、それぞれの費用や内容が明示されています。ここでは料金体系と内訳、含まれるサービス、追加費用が生じるケースを整理します。
※いずれも2025年5月時点の料金。
※別途、火葬料「大人(12歳以上)20,400円、子ども(12歳未満)15,800円」や市立聖苑の式場使用料が必要となります。
料金は条例とパンフレットに基づき定められており、利用前に指定葬儀業者を通じて内容と金額を必ず確認することが求められます。
規格葬儀の基本料金に含まれるものは以下の通りです。
これらは葬儀の基本的な流れを整えるために必要なもので、制度によって統一されています。
規格葬儀の基本料金に含まれない内容については、別途費用がかかります。代表的なものは以下の通りです。
ご家族の希望や参列者数によって金額が変動するため、見積もり段階で詳細を確認しておくことが重要です。
箕面市の規格葬儀は、市民が安心して利用できるよう整備された制度です。料金や内容が明示されているため、費用の見通しを立てやすく、市が関与していることから信頼性の高い仕組みといえます。ただし、自由度には一定の制約があるため、利用前に内容を確認しておくことが重要です。ここでは、制度のメリットと注意点を整理します。
規格葬儀の最大の特徴は、料金と内容があらかじめ定められている点です。標準型・略式型の費用が明記されているため、ご家族は葬儀の規模に応じて費用の目安を把握できます。
さらに、制度として市が関与しており、指定葬儀業者を通じて申込み・準備を行えるため、信頼感があります。次のような点がご家族の安心につながります。
市が提示する見積もり例を参考にできることも、事前準備の安心材料になります。
一方で、規格葬儀には制度上の制約もあります。
また、料理や返礼品、車両利用、宗教者への謝礼などは基本料金に含まれず、追加費用が発生する項目です。ご家族の希望や参列人数によって金額が変動するため、利用前に指定葬儀業者と内容・費用を十分に確認することが大切です。
このように、規格葬儀は「費用の明確さ」と「制度による安心感」が強みですが、「自由度が限定される」点を踏まえ、事前の確認を行ったうえで選択することが望まれます。
▶こちらの「葬儀の費用相場はいくら?一般葬・家族葬・直葬の平均金額と内訳を解説」の記事もご覧ください。
箕面市の規格葬儀は、費用と内容があらかじめ定められた市の制度であり、ご家族が安心して利用できる仕組みです。標準型と略式型の2種類があり、必要な基本サービスが含まれる一方で、火葬料や式場使用料、料理や返礼品などは別途費用が必要です。費用の明確さと市が運営している信頼感が魅力ですが、自由度には制約があるため、利用前に指定葬儀業者と内容を十分に確認することが重要です。制度を正しく理解し、ご家族の状況に合わせた安心できる葬儀の選択につなげていただければ幸いです。